ゴールドコーストと言えば、青い海・どこまでも続く白砂のビーチリゾートを思い浮かべる人が多いと思います。でもゴールドコーストの魅力は海だけではありません。ゴールドコーストの内陸には、オーストラリア・ゴンドワナ多雨林群という世界自然遺産が広がっているんです。
この記事では、あまり知られていないゴールドコーストの世界遺産の魅力をお届けします。
目次
オーストラリアのゴンドワナ多雨林群ってどんなところ?
ゴンドワナ多雨林群はクィーンズランド州南東部とニューサウスウェールズ州北東部に広がる自然保護地域の総称で、1986年に「オーストラリア東海岸の温帯および亜熱帯雨林公園」の名称で登録、その後登録地域が拡大し、2007年に現在の登録名称「オーストラリア・ゴンドワナ多雨林群」になりました。その広さは約37万ヘクタールにおよび、埼玉県や奈良県とほぼ同じ面積になります。
ゴンドワナ多雨林群は50以上の保護区と16か所の自然資源で成り立ち、亜熱帯・乾燥帯・温帯・冷帯に属する植物が植生する珍しいエリアになり、世界最古のシダ類や200種を超える植物群、約270種の鳥類、絶滅危惧種の動物など、貴重な生態系を見ることができます。
オーストラリア・ゴンドワナ多雨林群の成り立ち
約6億年前に誕生したゴンドワナ大陸が長い年月をかけて分断と移動を繰り返し、オーストラリア・インド・アフリカ・南アメリカ・南極大陸などを形成したと考えられています。オーストラリア大陸は約6500万年前に南極大陸と分裂し、約5500万年前にニューギニアと切り離されて現在のオーストラリア大陸になりました。
ゴンドワナ多雨林群は恐竜が生きていた1億3000万年前のゴンドワナ大陸から続く世界最古の森で、他の大陸から分離する前の痕跡を残す貴重な世界遺産になります。
3つの国立公園があるゴンドワナ多雨林群
ゴールドコースト周辺にはゴンドワナ多雨林群を代表する、ウーランビン国立公園(旧マウントウォーニング国立公園)・スプリングブルック国立公園・ラミントン国立公園という3つの国立公園があります。
およそ2300万年前にクィーンズランド州南東部の数か所で火山の大噴火が発生し、そのうちの1つがクィーンズランド州とニューサウスウェールズ州の境目に位置するマウントウォーニングになります。そのマウントウォーニングを中心に外輪山が形成され、長年の浸食と風化により南半球最大のカルデラが形成されました。このカルデラを取り囲むように形成されたのが、スプリングブルック国立公園とラミントン国立公園になります。
1. スプリングブルック国立公園
スプリングブルック国立公園はゴールドコーストから南西に約40km、車で1時間ほどの場所にあり、毎年200万人以上が訪れる人気の観光スポットです。スプリングブルック国立公園は大きく3つの地域に分かれています。
スプリングブルック高原地区
スプリングブルック国立公園で最も広い地区になり、南半球最大のカルデラやマウントウォーニングを見渡せるベスト・オブ・オール展望台、切り立った断崖から流れ落ちる滝や遠くにゴールドコーストの高層ビル群を一望できるキャニオン展望台、落差106mのパーリングブルック滝、滝の裏を歩くことができるツインフォールなど、太古の森を間近で体感できるエリアです。
スプリングブルック&マウントタンボリン日本語ツアー
世界遺産スプリングブルックでは渓谷を一望できる絶景スポットや落差約100mの滝を楽しむことができます。マウントタンボリンではクラフトショップやカフェ、地元の特産品を扱うお店などギャラリーウォークをたっぷりとフリータイム。
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所用時間:6時間30分
ナチュラルブリッジ地区
山から流れ落ちる滝の勢いによって滝の裏が浸食されて洞窟となり、さらに河床が水圧によって穴ができたことにより、自然の橋となったのが由来となります。
ゴールドコーストのナイトツアーで外せない「土ボタル」を見ることができるのが、この洞窟とその周辺の遊歩道のエリアになります。
世界遺産 土ボタルツアー(日本語ガイド) 南半球の星空観測付き
ゴールドコーストといえば土ボタル観光!世界遺産の山から流れ落ちる川の水圧によって完成した自然の洞窟には、南半球だけに生息すると言われる、無数の神秘的な土ボタルが洞窟の天井を照らします。
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所用時間:3時間30分
ナチュラルブリッジ&スプリングブルック(英語ガイド/軽食付き)
効率よくゴールドコーストの世界自然遺産を満喫できる半日ツアー。人気のナチュラルブリッジやパーリングブルック滝を含む最大5個の滝をお楽しみいただけます。
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所用時間:5時間
マウントクーガル地区
スプリングブルック国立公園の東に位置し、以前はバナナ農園や製材工場が作られたが、1983年に保護区となり亜熱帯雨林が再生され、トレッキングを楽しむことができます。
2. ラミントン国立公園
ラミントン国立公園は1915年に設立され、当時のクィーンズランド州総督ラミントン卿の名前が由来となり、グリーンマウンテン地区とビナ・バラ地区に分けられます。
グリーンマウンテン地区
ニューサウスウェールズ州にある世界遺産ブルーマウンテンズ国立公園から移住してきたオライリー一家が1926年にゲストハウスをオープンし、この地域を故郷のブルーマウンテンにゆかりのある名前として、「グリーンマウンテン」と命名されました。約100年3代に亘りこの地を守り続け「オライリーズ」とも呼ばれています。
オライリーズから歩いていけるモラン滝の崖から眺める夕焼けは絶景で人気スポットになっています。
ラミントン国立公園オライリーズ&ヴィンヤードツアー(英語ガイド/軽食付き)
世界自然遺産の絶景、高さ16メートルのツリートップウォークで空中散歩、スパークリングワインの試飲やモフモフのアルパカに会えたりと盛り沢山なツアーをお楽しみください。
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所用時間:5時間30分
ビナ・バラ地区
ビナ・バラはオーストラリア先住民の言葉で「ブナ(ナンキョクブナ)の木が生える所」を意味しています。ビナ・バラ地区は1933年にキャンプサイトがオープン、1939年にはビナ・バラ・マウンテンロッジが建設され、現在はグリーンマウンテンと並ぶマウンテンリゾートとなっています。
3. ウーランビン国立公園(旧マウントウォーニング国立公園)
クィーンズランド州南東部からニューサウスウェールズ州北東部の沿岸は、浅瀬や溶岩が露出しているため昔は船が座礁しやすい場所でした。1770年5月15日、この海域を北上してきたキャプテンクックが、この山が見えたら注意しろという意味でマウントウォーニング(WARNINGは警告という意味)と名付けられました。
元々はオーストラリア先住民の言葉でウーランビン(雲をつかんでいる山、山の長という意味)と呼ばれ、聖地として崇められていました。
現在は先住民を尊重し、マウントウォーニング国立公園からウーランビン国立公園に名称が変更されています。
スプリングブルック国立公園・ラミントン国立公園への行き方
スプリングブルック国立公園やラミントン国立公園までの公共の交通機関は残念ながらありません。日帰りツアーに参加するか、専用車を手配して訪れることをおすすめします。もちろん、レンタカーを借りて気ままに訪れることもできますが、知識が豊富なエコガイドの説明を聞きながら参加するツアーとでは、旅の満足度が格段に変わってきます。ご自身の目的に合わせてご検討ください。
ゴールドコーストの世界遺産を体験しよう
この記事では、あまり知られていないゴールドコーストの世界自然遺産の魅力をお届けしました。ゴンドワナ多雨林群の成り立ちを知った上で訪れると、目には見えない歴史が見えてくるかもしれません。
海抜900mを越える内陸の高地に位置しているため、ゴールドコースト市内の気候とは若干異なり、3~4℃ほど気温が低くなります。冬季(6-8月頃まで)の朝晩は5℃前後まで冷え込むため、防寒着は必須です。自然の中を歩いたり、岩場を歩くので歩きやすい靴やスニーカーがおすすめです。また、夏場は陽射しが強いため、日焼け対策も必須。日焼け止め、帽子、サングラスがあると便利です。