シドニー・オペラハウスの魅力と観光の楽しみ方

シドニー・オペラハウス

1973年に開業したシドニーのオペラハウスは、毎年1,090万人以上が訪れるオーストラリアの文化的アイコンです。オーストラリアと聞くとこのオペラハウスを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

シドニーで行くべき観光スポットはたくさんありますが、その中でもやっぱりオペラハウスは欠かせません。今回は、そんなオペラハウスの魅力と楽しみ方をご紹介します。

完成まで14年!?シドニー・オペラハウスができるまで

シドニー・オペラハウス設計図

シドニーのオペラハウスといえば、一度見たら忘れられない外観が大きな特徴です。このオペラハウスのデザインは、デンマークの建築家ヨーン・ウツソン氏によるもの。1956年のオペラハウス国際デザインコンペティションに持ち込まれた233の応募の中より選ばれました。

1959年に建設工事が開始され、当初は4年ほどかかると予想されていたものの、実際にはその建設に膨大な時間が費やされてしまいます。その複雑なデザインと構造の難しさから担当者を変えながら難航し、オペラハウスが完成したのはなんと工事開始から14年後のことでした。工事に関わった建設作業員は約1万人といわれています。

また、建設予定費用も当初は700万ドルでしたが、最終的な費用は1億200万ドルにまで膨れ上がりました。ウツソン氏も工事の途中で予算が降りなくなり、設計者であるにもかかわらず撤退という形でオーストラリアを離れてしまいます。自らデザインしたオペラハウスの完成を見ることなく、その後亡くなるまで一度もオーストラリアを訪れることはありませんでした。

しかし、オペラハウスの完成はウツソン氏の建築物の代表作として氏の名を建築史に残します。シドニー市民もウツソン氏を忘れることなく、2008年の逝去時には地元紙がその栄誉を大々的に報道し、翌年2009年にはメモリアルコンサートも開かれました。

オペラハウスは芸術のパフォーマンスのために構築され、その完成を信じる人々によって長い年月をかけて命を吹き込まれた芸術作品そのものなのです。

オーストラリアのアイコン シドニー・オペラハウスの3つの魅力

年間2,000以上もの公演を開催

シドニー・オペラハウスで行われている公演のポスター

現在オペラハウスは世界で最も忙しい舞台芸術センターのひとつです。オペラハウス内には、コンサート専用ホールから小劇場まで大小5つの会場があり、ここで年間2,000以上の公演とイベントを開催しています。さまざまなジャンルの公演があるので、興味のあるものを見つけたらぜひ鑑賞したいところです。

特徴的な建築デザイン

シドニー・オペラハウス

特徴的な白い波状のシルエットは、対岸に掛かるシドニーハーバーブリッジと共に、シドニーの街に気持ちのよい景色を提供​​しています。オペラハウスの建物は見る角度によって全く違う形になるように設計されており、訪れる人を魅了しています。

印象的な白い屋根は100万個以上の屋根瓦で覆われています。屋根瓦はスウェーデン製の特注品で白とクリーム色の2色があり、白い方だけ反射して外からきれいに見えるように計算されているのです。

オペラハウスの屋根瓦

建物の中は柱がなく、緻密に計算された木造の積み木のような壁も見どころです。さらに、シドニーオペラハウスは、すぐそばにある港の海水を循環利用し、建物の暖房と空調の両方に電力を供給しています。50年近く前にこのような技術を用いた設計がなされたことに驚きです。

2007年に世界遺産に登録

シドニー・オペラハウス

シドニーのオペラハウスは、その革新的な建造様式や構造設計が評価され、2007年にユネスコの世界遺産に登録されました。現在、タージマハル、古代エジプトのピラミッド、中国の万里の長城とともに世界遺産リストに登録された最も新しい文化遺産となっています。

ユネスコによると、シドニーのオペラハウスは20世紀後半の新興建築に大きく影響を与えた大胆かつ先見の明のある偉大な建築作品であるとしています。20あるオーストラリアの世界遺産の中でも、ぜひ一度は訪れたい必見スポットといえるでしょう。

シドニー・オペラハウス観光の楽しみ方

オペラハウスで芸術鑑賞

シドニー・オペラハウス

せっかくオペラハウスに行くなら、外観を見るだけでなく、コンサートを間近で鑑賞してみませんか?

芸術鑑賞となるとかなり高額なものを想像される人も多いかもしれませんが、オペラハウスで見られる公演は多岐にわたり、安いチケットだと20〜30ドルから買うことができます。チケットは通常、公演の2ヶ月程前からオペラハウスのチケット窓口や販売サイトから予約が可能です。

オペラハウスは、オーストラリア国立バレエ団や、シドニーシンフォニーオーケストラのシドニー拠点でもあります。コンサート、オペラ、演劇、バレエ等の一流の芸術公演が行われるオペラハウスで、芸術鑑賞を楽しみましょう。

オペラハウスの内部見学ツアー

シドニー・オペラハウスの見学ツアー

オペラハウスではバックステージ等を周ることができる、日本語ガイド付きツアーを催行しています。経験豊富なガイドが、オペラハウスの歴史や建築の知識を丁寧に解説しています。オペラハウスの外観だけではなく、中からも立体的に楽しむことができる絶好の機会です。

帆の形をした外壁に手を触れてみたり、一般には立ち入り禁止のエリアで芸術舞台の裏側を楽しむこともできます。また、ツアーの参加時期によって優雅なバレエダンサーのリハーサルの様子を見学したり、コンサートホールからの音合わせの響きを体で感じたりすることができるかもしれません。

所用時間は約30分、大人は1人32ドルから参加できます。なお、ツアーでは階段の上り下りも多いため、歩きやすい靴で参加することをおすすめします。

シドニー

世界遺産オペラハウス館内ツアー(日本語ガイド)

世界遺産に登録されているシドニーのシンボル、オペラハウス。外観を目にする機会はあっても中まで入ったことのある方は意外と少ないものです。シドニー旅行の記念に是非どうぞ!

30

所用時間:30分

シドニー

世界遺産の舞台裏へ潜入!オペラハウス・バックステージツアー

人数限定!世界遺産を徹底見学!関係者のみが入る事のできるステージ裏側へ最大12名の少人数制で専門ガイド(英語)がご案内。実際に使用される指揮者台や、ステージにたってみたりする事も体験できます!

167

所用時間:2時間

オペラハウス周辺を散策

ハーバーブリッジ

オペラハウス内もしくは周辺で、美しい景色を楽しみながら食事をとるのもおすすめです。すぐ近くには「オペラ・バー」と呼ばれる野外ビア・ガーデンがあり、シドニー湾を望みながら美味しい海鮮料理やアルコールを楽しむことができます。

また、オペラハウス周辺にはハーバー・ブリッジの上に登るツアーやシドニー湾のデイクルーズなど、一日満喫できる観光スポットが満載です。橋の上や海から眺めるオペラハウスはいつもと違った表情を見せてくれるでしょう。

シドニー

サンセット ディナークルーズ

オーストラリアのランドマーク、オペラハウスとハーバーブリッジが夕日に染まる様子を楽しみながら、船上でお過ごしください。アッパーデッキ席からシドニーハーバーの景色を楽しみながら、3コース料理をご堪能下さい。

105

所用時間:2時間

冬季限定の光の祭典!ビビッド・シドニー

ビビッド・シドニー
Views of the Harbour Lights from the Overseas Passenger Terminal during Vivid Sydney 2019. / Destination NSW

シドニーでは毎年冬季に「ビビッド・シドニー」と呼ばれる光と水の祭典が開催されており、そのなかでオペラハウスも重要な展示物のひとつとなっています。

普段は白いオペラハウスの外壁が、ビビッド・シドニー開催中は色鮮やかなライトで照らされ、オペラハウスの独特の形を活かしたプロジェクションマッピングを楽しむことができます。

暗闇の中、次々と色鮮やかに変身するオペラハウスのいつもと違う姿も美しく、このイベントの重要なランドマークとなっているので、時期が合えばぜひ足を運んでみてください。

開催期間:5月下旬〜6月上旬
イベント公式サイト:https://www.vividsydney.com/

シドニー・オペラハウスへのアクセス

シドニー市内からオペラハウスへのアクセスは、公共交通機関を利用するのが便利です。

鉄道・フェリー・バス、また2019年12月からは路面電車も開通した「サーキュラー・キー駅」が最寄り駅で、この駅から徒歩約6分程でオペラハウスにアクセスできます。車やタクシーでアクセスもできますが、駐車場やタクシーの乗降は人気の公演の際には制限されるため、注意が必要です。

シドニー・オペラハウス(Sydney Opera House)
住所:Bennelong Point, Sydney
営業時間:チケット売場 8:30~17:30 (土曜9:00~16:00)
アクセス:シドニー市内「サーキュラー・キー駅」(Circular Quay Station)から徒歩6分程
公式サイト:https://www.sydneyoperahouse.com/

シドニー・オペラハウスを満喫しよう

オーストラリアのアイコンであるシドニー・オペラハウスは、長い年月と色々な人の想いが詰まった文化的・歴史的に重要な観光地です。青い空をバックに写真を撮る事はもちろん、建物内部で芸術鑑賞や荘厳な舞台裏も覗く楽しみ方もできます。多くの人が建設に関わった膨大な歴史に想いを馳せながら、世界最高水準の芸術と美しい景色を楽しむのはいかがでしょうか。

オペラハウス
この記事をシェアする
ABOUT US
RICOライター
コーヒーと旅と音楽をこよなく愛するライター。2012年にオーストラリア・シドニーに渡り、2016年にマッコーリー大学経済学部を卒業。現地で大手日系通信会社と日系商社に勤務の後、2019年に日本へ帰国し外資系IT企業で広報職に就く。7年の海外生活と正規留学で培った英語学習方法や海外転職、オーストラリア現地情報等に加え、アウトドア・スポーツ・音楽などの趣味に関する記事も幅広く執筆しています。